【前回までのあらすじ】

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【北三陸編】

オーディンの下町に育ったミッターマイヤー(愛称:みったん)は親に反対されながらも軍人になりたいという夢を持った男の娘(痛)。

ある日、都会で挫折して下町に戻ってきたバイエルラインという青年が、みったんの姿を一目見て、ファンになってしまう。
市の観光課に就職したバイエルラインはこっそり撮ったみったんのプライベート動画を、オーディン市観光協会のサイトに掲載、すると、見る見るうちに話題となりヒット数が急上昇、みったんはローカルな人気者になる。
これを見た周囲の大人達は、過疎の町おこしのためにみったんを売り出そうと計画する。
やがて、ご当地アイドルとして町の疾風カフェで働くみったんの姿が評判を呼び、町には観光客が大勢やってくるようになった。


そんなみったんに、謎の男ロイエンタールが接近してくる。
琥珀掘りの弟子を名乗り、スナックの女の部屋に居候中のロイエンタールの正体は、なんと芸能プロダクション「オフィス銀河帝国」のスカウト。
彼はアイドルグループ「帝国女学園」のメンバーを探していた。
「君がアイドルとして有名になれば、この過疎の町も有名になるんだ」
周囲の人たちの期待と励ましの言葉によって、みったんはアイドルになることを決意、オフィス銀河帝国のあるノイエ・サン・スーシに上京する。



【東京編】

期待に胸を膨らませオフィス銀河帝国の門を叩いたみったん。
ところが着いた早々待っていたのは、厳しい現実だった。

実はロイエンタールが本当にスカウトしたかったのは、オーディンのもう一人のご当地アイドル・ラインハルト様の方だった。
みったんはただのオマケだったのだ><
荷物を抱えて一人で田舎からやって来たみったんに、「ええーー、ラインハルト様来ないの? 事務所にもセンター候補が来るって言っちゃったのに…」とロイエンタールは失望を隠せない。
事務所でも会う人ごとに「君はなまってる方ね、で、可愛い方のラインハルト様はどうしたの?」と言われ続け、落ち込むみったん。

結局、後から合流したラインハルト様は帝女センターに抜擢されるが、みったんは正メンバーになれず、妹分の「獅子の泉の七元帥〜NGS7」に加入する事になる。
奈落と呼ばれる地下室で下積みの日々を送りながら、女優ヒルダの付き人としても働き、芸能界の厳しさを身を持って学ぶみったん。
また帝女では、ラインハルト様の「シャドウ(本役が他の仕事や体調不良で休むときの代役)」となり、出番がなくても同じ振り付けをマスターしなければならない。
それでもNGSのメンバー達と厳しいレッスンをこなすうちに、次第にみんなと意気投合し、いつかNGS全員で正メンバーになりたいという夢を語り合うのだった。
 

そんな中、帝国女学園の人気投票「国民投票」が開催される事になった。
しかしこの投票は、40位以内に入れないと強制的に事務所を解雇されるという過酷なもの。
何とか全員で40位以内を目指す事を目標に、NGSは毎日路上で自主ライブや握手会を行い、団結を深めていく。

……そして迎えた、結果発表の日。
予想外に上位に入ったミュラーはじめ、これまでの努力を反映したように、NGSメンバーは次々に40位以内にランクインする。
しかし……。
みったんは一人だけ名前を呼ばれず、解雇は決定的となってしまう。
ランキング上位の貴族連合に目をつけられていたみったんは、嫌がらせを受けていたこともあり、なかなか票を集められなかったのだ。

上位に脱退者が出て、何とか繰り上がりで40位にすべりこんだみったん。
しかし、フレーゲル男爵には
「卿にはもう二度とチャンスなんか来ないよ、卿を必要としている人はどこにもいない!」
と、今後も嫌がらせを続行する事を断言されてしまう。

いつも前向きでちょっとの事ではへこたれないみったんも、さすがにこれにはショックを隠せない。
「おらがいたら、NGSのみんなにまで迷惑がかかる……」
そう考えたみったんは、NGS脱退を決意。
列車に乗って、故郷オーディンへと帰ってゆくのだった。


93話へ続く

 
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